GLOBAL PROJECT新サービス立ち上げで
日本企業にもグローバルスタンダードの
ブランド評価指標を提供

MISSION

2024年10月、日経リサーチは新しいサービスの提供を発表した。
その名も「GLOBAL BRAND SURVEY(グローバル・ブランド・サーベイ)」。
11の国と地域のデータを活用し、手軽にグローバル市場における
自社のブランド価値を明らかにできるサービスだ。
日経リサーチにとっては、新たな試みとなったこちらのサービスの
立ち上げを担当したチームメンバーに、プロジェクトが始まった経緯や
プロジェクト進行中の思いについて語ってもらった。

プロフィール下森_20

プロジェクトオーナー下森 清

グローバル事業の責任者。2023年7月入社。国内、外資系の日用トイレタリー、飲料、化粧品メーカーにて、マーケティング部門、経営企画部門、リサーチ部門の部門長として、経営戦略、マーケティング戦略、ブランド戦略の策定と実行をリード。グローバル事業、ブランド事業の拡大に取り組んでいる。週末は、子供とスケートボードのレッスンに通う。

プロフィール香本

プロジェクトリーダー香本 真江

ブランド事業の実行責任者。世論調査志望で入社。日本経済新聞社の編集支援業務を15年近く担当後、営業部新設とともに初期メンバーとして異動。3年の海外勤務を経て現在はグローバルを中心としたブランド事業を担当。モットーは全力で働き、全力で遊ぶ。

プロフィール光廣

シニアデータサイエンティスト光廣 正基

ブランド価値の指標開発を担当。データサイエンス部で、マーケティングにおける意思決定支援のため、調査データと行動データを組み合わせたデータ分析業務に従事。クラウドサービスを利用したデータ分析基盤の構築やAI活用、社内外のデータサイエンス教育にも取り組む。

プロフィール小林_80

営業担当小林 万希子

ブランドサービスの営業企画担当者。リサーチャーとして入社。エンゲージメント調査、マーケティングリサーチなど幅広いテーマを担当後、営業部署に異動しマーケティングと営業企画業務に従事。日経SW経営調査/日経SDGs経営調査関連のサービス営業など、日経グループならではの法人営業も担当。

リサーチャーとは

市場調査を企業や団体から請け負う調査専門会社や、企業のマーケティング部門に所属して、市場調査に当たるスペシャリスト。
詳しくは「職種紹介」ページへ

パンフ_手あり

前職で感じていた課題意識をベースにプランニング

 いまや企業活動において、国境を越え、グローバルで事業を展開することは珍しいことではなくなった。しかし、グローバル環境において、企業価値向上のためのブランディング施策を最適化するのは至難の業だ。その理由の1つに、自社のブランド価値を把握するために調査をしたくても、事業を展開するすべての地域をフォローする調査の実施が簡単ではないことが挙げられる。たとえ調査ができたとしても、市場における自社のポジションを理解するために比較が必要な競合他社のデータを入手するのも難しい。

 2024年10月にリリースした「GLOBAL BRAND SURVEY」は、そのような企業の悩みに応えるサービス。11の国と地域で暮らす約7万人の消費者が評価した国内外200企業のブランド調査データベースを活用し、様々な分析や競合比較を可能とするものだ。分析結果はオンライン上のダッシュボードをクリックするだけで閲覧できるという手軽さも魅力の1つである(対象地域、企業、消費者の数は2025年1月現在)。

 このサービスを立ち上げるにあたって、特にこだわった点について、プロジェクトオーナーを務めた下森は、こう語る。
「グローバル標準の指標によって、ご利用いただく企業のブランド価値を適切に把握できるものにすることを心がけました。例えばブランド・エクイティ(ブランドを資産とみなした際の価値)を測る評価指標など、一つひとつの指標を丁寧に設計しています」
 下森はいわゆるキャリア採用だが、この考えは、日経リサーチ入社前に抱いていたある思いがもとになっている。元々、食品メーカーや化粧品メーカーなど、日本を代表するグローバル企業でマーケティングに携わってきたが、当時、下森自身が満足できるようなブランド調査サービスがなく、もどかしさを感じていたのだ。

 2023年の夏頃、この思いを実現すべく最初に声をかけたのが、データサイエンティストとして、数々のプロジェクトで調査データの分析を行ってきた光廣だった。
 しかし、データサイエンティストの仕事は、調査で取得したデータを分析するのが一般的だ。まだ分析するデータもないサービスのプランニング段階からプロジェクトに携わるのには違和感があるが、この時、光廣は何を思ったのか。

「下森さんの話を最初に聞いた時、私が常日頃から考えていることと同じだと思いました。そして、このサービスは日経リサーチにとって、武器になると感じたことを覚えています。また、通常の業務でよくあることですが、既に終了した調査のデータを用いて分析すると『もしこのようなデータがあるともっとやれることがあるのに』と思うことがあります。その点、今回は、サービスで提供したい指標を念頭に調査設計ができる訳です。その点は大きな魅力でしたね」(光廣)

 データサイエンティストである光廣に、サービス立ち上げの初期段階に声をかけた下森の目論見は大正解だといえる。使い勝手のよさや分析の精度の高さで、市場からの注目を集めており、サービス開始早々に顧客も獲得。さらに、将来のサービスの拡大も見据えた設計も施されており、日経リサーチの事業展開を考えても理想といえる形に仕上がっている。

下森屋外-1

互いを尊重しながらの対話が
プロジェクトを前進させていく

 2023年末には、下森と光廣に加え、必要な調査の実施やサービスの建付けなどをまとめるプロジェクトリーダーを務めた香本や、営業担当の小林などのメンバーがチームに参加。合計7名となったチームで取り組みが本格化していく。具体的には、調査の実施、調査で収集したデータの分析、データベースとダッシュボードの設計・構築、既存顧客へのヒアリングなどを進めていった。

 取り組みは順風満帆に進んだわけではなかったと香本は振り返る。初めはチーム内で意見が対立することも多かったというのだ。
「初めは、このようなサービスが既存のお客様のお役に立つのか疑問で、下森さんと衝突することがよくありましたね(笑)。しかし、話していくうちに、下森さんは私の考えよりも広い視点をもっていることが分かりました。このサービスを市場に投入することで、改めて日本企業にブランド価値の重要性を知ってもらうきっかけにしたいと考えていたんです」(香本)

 普段は別々の部署で仕事をしているメンバー同士が集まったのだから、考え方が異なるのは致し方ない。下森と小林は中途採用で、香本と光廣は新卒で入社した生え抜き社員なのでなおさらだ。プロジェクトの成功のためには、メンバー間の意思統一が必要なのはいうまでもないが、幸いこのチームには当初から自由に意見を言い合える雰囲気があったという。
「かねてからグローバルに対応するブランド評価サービスを必要とするお客様の声を営業担当者として聞いていたので、サービスのコンセプトは納得できるものでした。ただ、お客様の生の声を聞いてきたという自負があるので、サービスに対する意見はしっかりいわせてもらいました。不思議とこのチームには、それぞれの立場の意見が尊重されるだろうという安心感があったんですよね」とは小林の弁だ。

香本単独

日経リサーチのグローバル進出の足掛かりに

インタビューの最後、今回、新サービスの立ち上げプロジェクトに携わった感想をそれぞれに訊ねると、次のような言葉が返ってきた。
「誰かに言われたわけでなく、自分が胸に抱いていた思いからサービスをつくることができて充実感があります。入社して、まだ1年ほどですが、そのような社員にもこのような一大プロジェクトを任せてもらえる会社の懐の深さには感謝ですね」(下森)

「これまでデータサイエンティストとして培ってきたナレッジやスキルを総動員してタスクにあたることができたと感じています。とても大変でしたが(笑)。今回、プロジェクトを進める上で意識していたのは、社内に新しい風を吹かせたいということ。挑戦の連続だった今回のプロジェクトを実現できたことで、社内に『このようなことをしてもよいんだ』という意識が芽生えればよいですね」(光廣)

「プロジェクトを通して、様々な発見がありました。例えば、ダッシュボードで調査結果を提供するという発想はこれまでなかったのですが、確かに利用する企業様にはメリットが多い。入社して数10年経っても、まだまだ新しい世界があることに気づかせてくれたのは大きな収穫です」(香本)

「異なる背景をもつメンバー1人1人が活躍できるのが、新規プロジェクトの醍醐味だと思っています。いずれにせよ、前例がなく、ある意味、答えがない取り組みに携わることはとてもワクワクしましたね」(小林)

 参加したメンバーそれぞれ、得たものは大きかったようだが、「GLOBAL BRAND SURVEY」の立ち上げは日経リサーチの事業にとっても意義深いものである。
 今後、日経リサーチでは、自社サービスのグローバル展開も視野に入れた取り組みを進める考えだが、「GLOBAL BRAND SURVEY」のリリースは、そのような取り組みの足掛かりになると下森は強調する。

「『GLOBAL BRAND SURVEY』で収集している海外の企業や消費者を対象とした調査データがグローバル展開する上で価値あるものなのはいうまでもありません。また、サービス設計も、海外グループ会社の担当者の方が利用しやすいよう日本語だけでなく、標準で英語に対応しています。このサービスをきっかけに社内の発想がグローバルに向くことにつながることを期待しています」

 新規サービスの立ち上げが社内外に与えるインパクトは、思いのほか大きい。そのような波及効果を後々まで実感できることも、このようなプロジェクトに携わる醍醐味の1つなのは間違いなさそうだ。

コラボ7A
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